学校案内

鹿児島第一高校が日本の名門校ベスト100に

 近年、私学の勢いはますます盛んで、伝統ある公立学校をも凌駕するほどである。その理由として、大学進学を人生設計の第一歩として重視する進路指導と、社会の負の風潮に流されず自主・自立を尊重し、規律・秩序を守らせる生徒指導との二本柱を基にした、知・情・意・体の調和のとれた全人的な教育指導が、公立学校のそれに比べてしっかりしている点をあげる人がいる。しかし、公立学校と比べて何よりも異なる点は、私立学校には歴史に名を残すような優れた創立者の、自由で強固な建学の信念が存在していることであろう。そして、その信念を背骨として、そこに学ぶものにかって旧制高校生が抱いたであろう理想と夢にも近い目的意識を持たせようとしていることである。他方、今日の私学の台頭を、公立学校における質的変化と相対的にとらえる考え方もあるが、むしろ学校の存続をかけた私学の教職員のたゆまぬ努力の成果としてとらえるほうが、正しいように思われる。私学には、広く各地から集まる生徒達に対し、孟子のいう「天下ノ英才ヲ得テ之ヲ教育スル」楽しみを大切にする一方、さらに生徒たちの人格の陶冶と能力の開発に全力を傾注することにより、数ある学校の中から自校を選択した生徒・保護者の付託に応えようとする義務感と責任感にあふれている教職員が多い。不透明・不確実の時代といわれる今日、保護者がそうした教職員の努力に、一層高い信頼をおくのも当然である。
 ここに、日本の名門高校ベスト100私立学校編を編み、近現代の日本の発展に貢献し、今日、不動の地位を占めている名門私学を挙げ、不易の建学の精神が具体的な形となって表れている校史を綴って、百校が堂々と相対峙し少しもたじろがぬ私学それぞれの校風を明らかにしようと試みた。私学には、校訓、名校長、名物教師、生徒の己を失わぬ矜持、厳しい学習やスポーツ活動を取り巻くドラマ、青春の思いのこもる校舎・校庭など、多くの物語がある。また学校を支援する同窓会があり、後援会があり、保護者会があり、地元住民がいる。これらは、多くの場合、私学の持ち味であって、公立学校の比ではない。そして、これらの持ち味の一つ一つが、私学に学ぶ生徒たちにとって、青春の高い志と夢を託すに足る学びの場になっていることは確かである。